今夏の競輪界は悲しい出来事がありすぎた。7月に起きた死亡事故のあと、運営側も何らかの対策を打ち立てていたはずだが、それを実行できないまま2件目の事故が起きてしまった。
わずか2カ月の間に2件の死亡事故が起きるなんて誰も予測していなかっただろう。ただ、現行のままでレースを開催している限り、死亡事故が起こる可能性は消滅しない。
どんなに分母の数字が大きくても「起きる、起きない」の2択で言えば、その確率は常に50%。また明日にでも起きてしまうかもしれないのだ。
もし死亡事故をゼロにしたいのなら、バーチャル世界で競輪をするしかない。
ローラー上でペダリングする選手のスピード、パワー、持久力、ヨコの動きなどがダイレクトに反映されるアバターを操作して、バーチャル世界のバンクで勝負する…。すでにそんなコンテンツは存在している。
加えてフィジカルAI技術の発展もめざましい。その気になればの話だが、競輪選手が遠隔操作するロボットたちが、各競輪場のバンクで自転車を疾走させる日が来るかもしれない。
だが、競輪ファンはそんな未来なんて望まないだろう。生身の人間が、鍛え上げた己の肉体で全力を出して戦うからこそ、車券という形で応援しているのだ。
SNSの普及により、ファンの間でもさまざまな議論がなされるようになった。どうすれば落車事故が減るのか。そのためにはどういうルール改正や規制が必要なのか。本当にいいことだと思う。
ただ、諸橋愛さんの件ではネットリテラシーが問われる事案も発生。オフィシャル発表前の投稿や、それを引用しての発言は、ご家族さまの気持ちを害することにつながりかねない。有事のときこそ慎重な行動を心がけてほしい。
伏見俊昭、諸橋愛。2人が愛し、人生を懸けた〝競輪〟の根幹を変えてはいけない。その上で求められるのは、落車が死亡事故につながらないような安全対策だ。
これ以上の悲劇を起こさないためにも、今度こそ迅速な対応を願う。(岡田 光広)


